労働者が働く作業環境では、人体や環境に有害な有機溶剤、化学物質、粉じん等の有害物質のほか、騒音、振動、放射線、有害光線、高湿度等の物理的要因を十分な程度まで低減させることが必要である。そのためには、作業環境中にこれらの有害な因子がどれだけあるかを把握しなければならない。これが作業環境測定である。
労働安全衛生法2条では、作業環境測定について「作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)をいう。」と定義されている。これは、労働者が働いている作業環境中に有害な因子がどの程度存在し、その作業環境で働く労働者がこれらの有害因子にどの程度さらされているかを把握し、労働者の健康障害を防止することを目的としている。
労働安全衛生法では、測定を行う作業場ごとに測定方法を定めた「作業環境測定基準」に従って作業環境測定を実施し、その結果を評価、記録しなければならないとされている。作業環境中に有害因子が存在する場合には、その因子を除去するか、ある一定の限度まで低減させるか、又はこれらの対策だけでは不十分な場合には、保護衣などのばく露防止のための手段を利用することなどにより、労働者の健康障害を未然に防止することが必要となる。
作業環境中に存在することがある有害な因子としては、有機溶剤・鉛及びその化合物・特定化学物質等の有害な化学物質、粉じん等の有害な物質のほか、電離放射線、有害光線、騒音、振動、高温・低音、高湿度等の物理的因子などもある。また、作業環境測定を行うべき作業場として、1)粉じんを著しく発散する屋内作業場、2)暑熱寒冷または多湿の屋内作業所、3)著しい騒音を発する屋内作業場、4)坑内作業場、5)中央管理の空調設備下の事務所、6)放射線業務(放射性物質取扱室)、7)特定化学物質を製造または取り扱う作業場、8)一定の鉛業務を行う作業場、9)酸素欠乏危険場所の該当作業場、10)有機溶剤を製造または取り扱う作業場、の10の作業場と測定頻度が定められている。その記録は決められた年数保存しなければならない。
また、粉じんを著しく発散する屋内作業場、放射性物質取扱室、特定化学物質を製造または取り扱う作業場、一定の鉛業務を行う作業場、有機溶剤を製造または取り扱う作業場の5つの指定作業場については、作業環境測定士、作業環境測定機関が測定を行うよう定められている。作業環境測定士の資格については、作業環境測定法において「作業環境測定士試験に合格し、かつ、都道府県労働局長又は厚生労働大臣若しくは都道府県労働局長の指定する者が行う講習を修了した者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者で、厚生労働省令で定めるもの」とされている
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